利用報告書

Feハイブリッドポリマーの磁化測定
紅林 聖
1) 日本大学大学院 理工学研究科 物質応用化学専攻 高分子工学研究室

課題番号                :S-20-NI-0032

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :Feハイブリッドポリマーの磁化測定

Program Title (English) :Magnetization measurement of Fe hybrid polymer

利用者名(日本語)      :紅林 聖

Username (English)     :S. Kurebayashi

所属名(日本語)        :1) 日本大学大学院 理工学研究科 物質応用化学専攻 高分子工学研究室

Affiliation (English)  :1) Nihon University Faculty of Science and Technology Department of Applied Materials Chemistry Department Polymer Engineering.

 

 

 

1.概要(Summary )

ポリマーマトリックス空間に含まれる鉄イオンの磁化率を向上させるためには, 鉄イオンの秩序化が不可欠ある.

この秩序化の方法は, ポリマーマトリックスが磁気特性のベースであるFeCl4を配向するように設計されている場合に非常に効果的である.

近年では, 常磁性イオン液体が, 秩序化によって強磁性相互作用の距離を近づけることで,超常磁性イオン液体として振る舞うことが報告されている1). この研究では, 秩序だった結晶構造を持つ天然の無機強磁性体に着想を得て, π-πスタッキングビフェニル基を導入することにより, 隣接するFe(III)間の距離が4Åに近づき, 強磁性相互作用によって分子が分離され,規則正しい層構造が形成されている.

しかしながら、磁性高分子材料の実用化のためには磁化率を部分的に制御することも必要である.

本研究は, 形状記憶ポリマーの配向特性と, テトラブチルホスホニウムカチオンおよび[FeCl4]アニオン(TBP [FeCl4])のUV光反応を組み合わせることで, 鉄イオンを部分的に秩序化されること発見した.

今回のナノテクノロジープラットフォームにおける技術代行試験では,鉄イオンの秩序化に基づき, Feハイブリッドポリマーの磁化率測定を依頼した.

 

2.実験(Experimental)

使用設備:高感度 SQUID 磁化測定装置(カンタムデザイン(株)社製 MPMS5)

測定温度:300K

M-Hループ T=5

3.結果と考察(Results and Discussion)

Feハイブリッドポリマーは, 高い透明性を有し, 鉄が均一に分散されたフィルムが首尾良く調製された.

UV照射によってフィルム内部で,鉄とポリマーの相分離が確認され,フィルムの延伸と形状回復を行うことで鉄は一定の間隔をもって配列された.

鉄が相分離したハイブリッドポリマーの磁化率を比較すると,鉄が配列した状態になることで磁化率は大幅に上昇した.

これは,鉄成分が相分離を経て,秩序化されることによって相互作用が働き磁化率が向上したものだと考えられる.

 

4.その他・特記事項(Others)

参考文献

  • Yu, X. Yuan, Y. Zhao, and L. Ren, From Paramagnetic to Superparamagnetic Ionic Liquid/Poly(ionic liquid): The Effect of π−π Stacking Interaction, ACS Macro Lett. 2019, 8, 1504−1510.

謝辞

本研究は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(課題番号JPMXP09 S20NI0032)の助成を受けたものです.

測定にあたり, 技術支援をしてくださいました,名古屋工業大学ナノテクプラットフォームの日原岳彦教授に心より感謝申し上げます.

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし

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