利用報告書
課題番号 :S-18-NM-0068
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :FT-IRによる新規細胞壁組成をもつ形質転換植物の探索と解析
Program Title (English) :Characterization of cell wall properties in transgenic plants using FT-IR
利用者名(日本語) :坂本真吾
Username (English) :S Sakamoto
所属名(日本語) :1) 産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門
Affiliation (English) :1) Bioproduction Research Institute, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)
1. 概要(Summary)
形質転換シロイヌナズナより得られた細胞壁サンプルをFT-IRを用いて赤外吸光スぺクトルを取得し、得られたスペクトルデータを元に主成分分析を行うことで、各形質転換体がコントロールと異なる細胞壁組成を有しているかどうかを検証した。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
FT-IR(IR-Tracer 100)
ATRアタッチメント(The Quest、型番:GS10801)
【実験方法】
形質転換シロイヌナズナの花茎を有機溶媒処理によって二次代謝物等の除去等を行ったのち、10µm以下の粉末になるように粉砕処理を行い、FT-IR分析用のサンプルを調製した。調製した粉末約1mgをATRアタッチメントを装着したFT-IRの測定面にのせ、クランプで挟み込んだのちIRスペクトルを取得した。スペクトル取得条件は、800cm-1から4000cm-1までの波長を1cm-1ごとに、20回積算でデータを取得した。得られたデータは最大吸光度が100、最低吸光度が0となるようにノーマライズしたものをスペクトルデータとした。
3.結果と考察(Results and Discussion)
FT-IRスペクトルデータを主成分分析で解析したところ、LineC以外はコントロールとは異なるスペクトルをとることが分かり、特にLineAとLineEはコントロールとは大きく異なることが分かった。今後はLineAとLineEに焦点をあて、構成糖分析やリグニン構成の詳細分析を行うなど、変化した細胞壁成分の同定を行う予定である。
4.その他・特記事項(Others)
本研究はJST-ALCA(ゼロから創製する新しい木質の開発代表:光田展隆、JPMJAL1107)の支援を受けて行いました。
またFT-IR-ATRを用いた解析は服部様(NIMS)よりご指導いただきました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 徳江洋介、坂本真吾、上村直史、政井英司、光田展隆、梶田真也 植物細胞壁におけるリグニンエンジニアリングのための新規酵素遺伝子の探索(第63回リグニン討論会、2018年11月1日、東京)
6.関連特許(Patent)
なし