利用報告書
課題番号 :S-16-OS-0023
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :MEMS技術を用いた高機能マイクロハンドエンドエフェクタの開発
Program Title (English) :Development of Sophisticated Micro-hand End-effector by using MEMS technology
利用者名(日本語) :小嶋 勝
Username (English) :Masaru Kojima
所属名(日本語) :大阪大学大学院基礎工学研究科
Affiliation (English) :Graduate School of Engineering Science, Osaka University
1.概要(Summary)
微小対象物の操作・計測を目的とし、2本指マイクロハンドの開発を進めている。本マイクロハンドはガラスプローブをエンドエフェクタとして利用し、細胞を物理的に把持・操作・機械刺激の負荷が可能である。本手法による機械刺激が細胞に与える影響を評価するためには、大量の細胞を回収する必要がある。プローブ型デバイスを用いて大量の細胞に刺激を与えることは困難であるため、まずはマイクロ流路を用いた細胞刺激用チップを作成し、機械刺激が細胞に与える影響を評価することとした。本研究では大量の細胞に機械刺激を負荷するマイクロ流路チップの開発に取り組む。具体的な開発指針として、細胞の大きさよりも低い高さの流路を並列に設置し、複数の細胞が並行して通過すると同時に、流路に押しつぶされる形で機械刺激をうける流路を設計し、その評価を行った。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
LED描画システム、マスクアライナー、
接触式膜厚測定器
【実験方法】
LED描画システムを用いて1段目、2段目のマスクを作成し、スピンコートしたSU-8を硬化することで流路を作成した。マスクアライナーを用いて、1段目、2段目のパターンを所定の位置に作成し、高さの異なる2段の構造を持つモールドを作成した。各構造の高さは接触式膜厚測定器を用いて計測し、細胞の変形に十分な高さの流路が作製できるモールドであることを確認した。本モールドをPDMSに転写し、流路として用いた。
また、作製した流路を用いて細胞(NIH3T3)の機械刺激に用い、細胞が変形するかの確認を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
マイクロ流路チップの概要図ならびに、実際に製作したPDMS製マイクロ流路の顕微鏡図をFig. 1に示す。また、流路通過前後の細胞の変化の様子をFig. 2に細胞の通過前後で細胞の直径が大きくなっており、平板上につぶされて、機械刺激を受けていることが確認された。また、細胞の直径の変化から見積もった流路の高さは、流路作製時の計測結果とよく一致していた。本マイクロ流路チップを用いることで十分な数の細胞に機械刺激を与えることが可能であることが確認された。
4.その他・特記事項(Others)
・謝辞:本研究の一部は科研費(JP16H02321)、および未来研究ラボシステムの助成を受けたものである。
・関連する課題番号:F-16-OS-0028
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 戸谷 匡宏,小嶋 勝,洞出 光洋,神山 和人,前 泰志,小椋 利彦,金子 真,新井 健生, 第34回日本ロボット学会学術講演会, 平成28年9月9日.
(2) M. Totani, M. Kojima, M. Horade, K. Kamiyama, Y. Mae, T. Ogura, M. Kaneko and T. Arai, MHS2016, Nov.29, 2016
6.関連特許(Patent) なし







