利用報告書

Metal-organic frameworkにおける欠陥の存在を明らかにするための元素分析及び 電子状態測定
小池隆斗1)、大畑考司1)
1) 大阪府立大学大学院工学研究科

課題番号 :S-20-NR-0031
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :Metal-organic frameworkにおける欠陥の存在を明らかにするための元素分析及び
電子状態測定
Program Title (English) :Elementary analysis and electron state measurement for detection of structural
defects in metal-organic framework
利用者名(日本語) :小池隆斗1)、大畑考司1)
Username (English) :A. Ryuto Koike1)  B. Takashi Ohata1)
所属名(日本語) :1) 大阪府立大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Department of Material Science, Osaka Prefecture University

1.概要(Summary )
有機-無機ハイブリッド材料であるmetal-organic framework(MOF)は有機配位子と金属イオンとの配位結合からなる多孔性結晶である。適切な構成要素の組み合わせにより電気伝導性に優れたMOFが報告されている[1]。また、MOFの均一なサイズ、形状のナノ細孔と合わせてキャパシタ電極などのエネルギー貯蔵や分子センサへの応用も期待されている。
材料への欠陥導入は、化学状態や電子状態に著しく影響を与え、通常では得られない特性を発現させることが可能である。近年では、MOFに欠陥を導入することで分子吸着特性を向上させる試みがされている[2]一方で、MOFの電気伝導特性への影響については議論がなされていない。本研究では、高い電気伝導性を示すMOFに点欠陥を導入し、電気及び吸着特性に与える影響を解明し、特性を制御することを目的とする。
2.実験(Experimental)
欠陥の導入のために原料である有機配位子と金属塩の仕込み比を変えた6つの試料を作成した。また仕込み比に応じ、サンプル名(MOF-x, x:金属塩/有機配位子 mol/mol)を付けた。そして各試料をX-ray photoelectron spectroscopy (XPS: ULVAC‐PHI PHI5000VersaProbeⅡ, Al Kα)により化学状態や元素比を調査した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig. 1よりXPSによる化学状態の調査から試料中にC、O、Znの存在が確認され、配位結合の形成が示唆された。また、各元素のスペクトルから計算した組成比と想定される欠陥の導入割合をTable 1に示す。欠陥の導入割合は仕込み比に応じた違いが見られ、仕込み比と想定欠陥の導入割合は比例的であった。仕込み比に依らず、配位結合が形成されていること、仕込み比に応じた欠陥の導入が示唆された。

4.その他・特記事項(Others)
NAIST技術職員の岡島様にご担当頂いた。また、2020年度試行的利用の採択を受け実施した。
[1] L. Sun, M. G. Campbell, M. Dinca, Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 3566-3579.
[2] H.Wu. Y. S. Chua, V. Krungleviciute, J. Am. Che. Soc. 2013 135 (28), 10525-10532
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) T. Ohata, 薄膜材料デバイス研究会第17回研究集会, 令和元年11月5日
(2) T. Ohata, Pacifichem 2021, 令和ニ年12月16日
(3) T. Ohata, The 1st Asian Conference on Molecular Magnetism, 令和ニ年3月7日

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