利用報告書
課題番号 :S-16-SH-0020
利用形態 :共同研究型(半年)
利用課題名(日本語) :MIM用複合材料の組成開発
Program Title (English) :Development of the composition of composite material applying to a metal injection mold
利用者名(日本語) :二階堂 友東, 鈴村 政毅
Username (English) :Y. Nikaido, M. Suzumura
所属名(日本語) :ナパック株式会社
Affiliation (English) :NAPAC Co., Ltd.
1.概要(Summary )
金属射出成形(MIM : Metal Injection Mold)は金属粉末と樹脂などを混練し、射出成形機によって成形体を作製し、脱脂・焼結を行って焼結体を得る粉末冶金法である。一般的なプレス成形による粉末冶金製品では不可能な3次元形状を容易に得られる。そこで弊社製品における現行の粉末成形では不可能な3次元形状製品の拡販を目指し、粉末冶金で使用される安価な材料を用いてローコストMIMの開発を実施した。
本研究では弊社独自のローコストMIMコンパウンドを開発するため、金属粉末と数種類の熱可塑性樹脂を混練し最適組成を検討する。そのはじめとして射出成形における流動性の高いコンパウンドの作製をおこなった。
2.実験(Experimental)
初めに実験方法を示す。本研究はラボプラストミル(東洋精機製)を使用し実験を行った。Fe粉と樹脂の割合はFe粉 60 : 樹脂 40 vol. %とし、樹脂組成を表 1に示すように(a), (b), (c), (d) とそれぞれ母材樹脂とWAXの配合量を変化させた。混練温度を150℃、回転数を30 rpmに設定し、母材樹脂のPOM, PS, EVAをそれぞれ投入する。母材樹脂が混練できた状態を確認し、Fe粉を投入し、15 min混練する。その後混練温度を145℃、回転数を25 rpmに設定しWAXとしてパラフィンワックスを投入、20 min混練してコンパウンドを得た。
得られたコンパウンドは社内のMFR(CFT-500D:島津製作所製)で測定温度180℃, シリンダー圧 1.96 MPa, ダイス径 φ1×1 mmで流動性を測定し、コンパウンドの評価を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
作製したコンパウンドの流動性を図 1に示す。(a)と(b)を比較するとWAXの割合が多くなることで流動性に大きな改善がみられた。この結果から流動性に寄与する内部潤滑にWAX量が大きく影響していると推察される。
この結果をもとにWAXを50 wt. %と固定し、母材樹脂にPOM, PS, EVAを使用した(c), (d)を作製し、流動性を評価した。その結果(b)のように単一の母材樹脂でコンパウンドを作製するより、数種類の母材樹脂を使用した(c)と(d)で流動性が向上し、(d)において最も高い流動性が得られた。また、母材樹脂の配合組成により流動性が大きく変化しており、WAX量だけでなくPOM, PS, EVAの配合を変化させることで流動性に大きく影響することが確認された。
本研究では弊社独自のローコストMIMコンパウンドを開発するため、金属粉末と数種類の熱可塑性樹脂を混練し最適組成を検討する。そのはじめとして射出成形における流動性の高いコンパウンドの開発を行った。ラボプラストミルを用いて様々な樹脂組成のMIM用コンパウンドを作製した結果、パラフィンワックスを50 wt. %配合し、さらに数種類の母材樹脂を配合することで流動性の高いコンパウンドが得られることがわかった。
4.その他・特記事項(Others)
本研究では、ラボプラストミルの使用に際し、信州大学カーボン科学研究所清水保雄特任教授に支援を頂きました。感謝申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。