利用報告書

Nb3Sn薄膜の超伝導特性測定
髙橋光太郎2),許斐太郎1)2)
1) 高エネルギー加速器研究機構, 2) 総合研究大学院大学

課題番号 :S-19-MS-1094
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :Nb3Sn薄膜の超伝導特性測定
Program Title (English) :Superconductivity measurement of Nb3Sn thin film
利用者名(日本語) :髙橋光太郎2),許斐太郎1)2) ,
Username (English) :K. Takahashi2),T. Konomi1)2)
所属名(日本語) :1) 高エネルギー加速器研究機構, 2) 総合研究大学院大学
Affiliation (English) :1) High Energy Accelerator Research Organization,
2) SOKENDAI,the Graduate University for Advanced Studies

1.概要(Summary )
近年、ニオブスズ(Nb3Sn)をニオブ(Nb)高周波加速空洞内に成膜する技術が進展している。Nb3Snは超伝導転移温度が18 KとNbより高く、1.3 GHz加速空洞の場合、2Kで運転を行っていたものが4.5 Kで運転することが可能になる.KEKでは現在,Nb3SNの技術開発を進めており、Nb3Sn成膜用真空炉を建設している。真空炉の成膜条件を確立するために小さなNb基板にNb3Snを成膜し評価を行う予定である。
 現在,成膜用Nb基板の候補は2種類ある。1つ目はRRRが300以上の高純度ニオブ板から切りしたもの(Nb bulk)であり、2つ目はRRRが30のNb箔から切り出したもの(Nb sheet)である。今回の測定では,2種類のNb基板をSQUIDで評価した。
2.実験(Experimental)
分子科学研究所のMPMS7を用いて転移温度、下部臨界磁場の測定を行った。表 1に測定したサンプルのRRR、体積、重量を示す。
表 1 各サンプルの詳細
サンプル名 RRR 体積[mm3] 重量[mg]
Nb bulk 300以上 4×8×0.112 25.28
Nb sheet 30 4×8×0.075 15.32

 転移温度測定は6 K-10 Kの温度範囲で測定した。まず磁場をゼロにして、サンプルを6Kまで冷却し超伝導状態にした。その後、100 Oeを印加して10 Kまで昇温させた。昇温後、100Oeを印加したまま6Kまで冷却を行った、MH測定は、2 K, 4 K, 6 K, 8 Kの下で測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に2Kでの下部臨界磁場測定でのマイスナー直線の線形フィットの傾きの変化を示す.

図 1 侵入した磁束密度の変化
図1から、Nb sheetではNb bulkに比べ、傾きの変化が急激であり、下部臨界磁場を推定することが可能である。これはNb sheetのように薄いサンプルではサンプル形状による磁場エンハンスの効果が小さくなるためだと考えられる。Nb3Snの性質を測定するためにはNb自体のMH曲線が妨げにならないようにする必要があり、Nb sheetであれば、RRRは低いが利用可能である。一方、Nb Bulkは厚さをNb sheetと同等の薄さに加工できれば、Nb sheetよりRRRが高いため、より利用に適している。
4.その他・特記事項(Others)
 本研究は、文部科学省委託事業ナノテクノロジープラットフォーム課題として分子科学研究所の支援を受けて実施されました。本実験でSQUIDの操作をご指導,補助していただいた分子科学研究所 藤原氏,伊木氏に感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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