利用報告書
課題番号 :S-19-NR-0031
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :[NiFe]ヒドロゲナーゼのFeSクラスターの研究
Program Title (English) :Studies on FeS-cluster in [NiFe]-hydrogenase
利用者名(日本語) :樋口芳樹,西川幸志,今西隆浩
Username (English) :Y. Higuchi, K. Nishikawa, T. Imanishi
所属名(日本語) :兵庫県立大学大学院生命理学研究科
Affiliation (English) :Graduate School of Life Science, University of Hyogo
1.概要(Summary )
Citrobacter sp. S-77由来の[NiFe]ヒドロゲナーゼは,水素分子の酸化還元を担うヒドロゲナーゼユニット(HybOおよびHybC)に加えて,細胞内での電子伝達を担うサブユニット,HybAとHybBからなる4量体酵素と考えられている.本研究では,このHybAが有すると予想されているFeSクラスターの解析(MIP-MS によるFeの定量)を行うとともに,ヒドロゲナーゼユニット活性部位における一酸化炭素(水素との競争阻害剤)分子の影響についてのpH依存性をESR法により分光学的に調査した.
2.実験(Experimental)
MIP-MSを用いたHybAのFe定量
精製した2 µMの HybA 溶液(500 L)を硝酸で分解した.最終体積を50 mLの 1%の硝酸溶液にすることでFe濃度の予想最大値をおよそ20 g/Lに調製してMIP-MS測定を行った.
ESR装置を用いたpH変化によるCO親和性の評価
pH5,およびpH9の0.5 mM のHybOC(30 L)をEPR管に封入し,気相をCOに置換後,30℃で3時間インキュベートした「CO結合型試料」と,EPRを測定後に空気酸化した「酸化型試料」および水素還元した「還元型試料」のEPR測定を行った.
3.結果と考察(Results and Discussion)
MIP-MSを用いたHybAのFe定量
試料溶液のFe濃度は,13 g/Lであった.これより, HybA・1分子あたり,アミノ酸配列のシステイン含有量から推定されるFeSクラスターの数から見積もられたFe原子総数のおよそ60%のFe原子を含有していることが示唆された.得られた値が妥当かどうか,今後も結晶構造解析や種々の分光学的解析を行う必要がある.
ESR装置を用いたpH変化によるCO親和性の評価
pH5(図1)およびpH9の両条件で同様のESRスペクトルが得られた.CO吹き込みにより酸化型試料で観測されたNi-Bのシグナルと還元型試料のNi-Cのシグナルが消えたため,pH5,とpH9の両条件でCOが同様に結合することが示唆された.
図1. pH5における各試料のESRスペクトル
4.その他・特記事項(Others)
本研究は,2019年度試行的利用の採択を受け実施し,NAISTナノテクノロジープラットフォームの支援を受けて行った.MIP-MSによるHybAのFe定量は,技術専門職員・藤原正裕氏に分析頂いた.また,ESR装置の利用は,技術専門職員・淺野間文夫氏の指導の下で行った.本実験では,奈良先端科学技術大学院大学の廣田俊教授と松尾貴史准教授に多くの助言をいただいた.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
「なし」
6.関連特許(Patent)
「なし」







