利用報告書
課題番号 :S-16-NI-40
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :Pd粒子を分散させたWO3薄膜の電気抵抗の水素依存性
Program Title (English) :Effect of hydrogen on electrical resistivity of Pd particle dispersed WO3
thin film
利用者名(日本語) :宮代将成
Username (English) :M.Miyashiro
所属名(日本語) :名古屋工業大学 工学研究科
Affiliation (English) :Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology
1. 概要(Summary)
酸化タングステンWO3 は水素の取り込みによりHxWO3 となることで、バンド構造が変化し電気抵抗率が大きく減少する。この反応を利用したWO3 水素ガスセンサーの開発が期待されている。本研究では、WO3薄膜中に水素解離触媒としてPd粒子を分散させたPd−WO3薄膜をヘリコンスパッタにより作製した(Fig. 1)。そして、薄膜を低分圧の水素ガスに暴露した際の抵抗率変化を測定し、緩和時間の温度依存性・膜厚依存性を評価した。
2. 実験(Experimental)
試料は以下の手順で作成した。
①石英ガラス基板上に電極端子用のAu薄膜を、ヘリコンスパッタ装置を用いて作製。
②Wターゲット(純度99.99 %)上にPdチップ(純度99.99 %)を置いてW−Pd複合ターゲットとし、酸素雰囲気下でスパッタを行い、Pd−WO3薄膜を作製。
③成膜直後はWO3、Pdともに非晶質であるため1073 K、酸素雰囲気下7.1×10−2 Paで1 h熱処理して結晶化させた。その後、723 K、7.0×10−5 Pa で48 h熱処理して抵抗率を安定化。
④Au薄膜端子に耐熱銀ペーストでNiリード線を接着。
作製した試料をヒータ付きの真空装置に取り付け、油回転ポンプで真空引きした。その後、装置を真空排気しながらマスフローコントローラで水素ガス流を導入し続けることで、低分圧の水素ガス雰囲気を作製する。この雰囲気におけるPd−WO3薄膜試料の抵抗率変化を直流四端子法で測定した。
3. 結果と考察(Results and Discussion)
Pd−WO3薄膜試料の水素暴露による抵抗率変化をFig. 2に示す。グラフの縦軸には、抵抗値Rを水素導入直前の初期抵抗値R(0)で規格化した値を取った。測定サイクルを重ねるごとに反応時間が早くなり、抵抗値の減少も大きくなることが分かった。これは測定を行うことでPd粒子への水素の吸蔵と脱離が起こり、Pd表面の汚染が除去されることによって水素の解離性能が向上したと考えられる。
4. その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







