利用報告書

PM2.5や黄砂などの粒子状物質による免疫系への影響に関する研究
吉田 成一1), 市瀬 孝道1)
1) 大分県立看護科学大学

課題番号 :S-15-KU-0010 NPS15001
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :PM2.5や黄砂などの粒子状物質による免疫系への影響に関する研究
Program Title (English) :The effects of PM2.5 and Asian sand dusts on immune system.
利用者名(日本語) :吉田 成一1), 市瀬 孝道1)
Username (English) :S. Yoshida1), T. Ichinose1)
所属名(日本語) :1) 大分県立看護科学大学
Affiliation (English) :1) Oita University of Nursing and Health Sciencese

1.概要(Summary )
粒子状物質はヒトの気道や肺に炎症反応を生じさせることや、気管支喘息などのアレルギー増悪作用を有することが知られている。これまでの様々な疫学知見から粒径が小さい粒子ほど呼吸器系疾患や肺癌などへの健康影響が懸念されているが、粒子状物質による免疫系への影響について粒子径による影響に関する知見はほとんどない。我々は、粒子状物質である黄砂や都市大気浮遊粒子状物質等による免疫系への影響を動物実験で明らかにしてきた。これらの粒子状物質が催炎症作用や気管支喘息症状の増悪作用等を示し、免疫修飾作用を有することが明らかになった。一方、中国で採取したPM2.5や日本国内で採取したPM2.5についても上記の免疫修飾作用を示す知見を得た。また、黄砂、都市大気浮遊粒子状物質やPM2.5による催炎症作用や気管支喘息増悪作用等は粒子の種類によりその影響の大きさが異なることも明らかにしてきた。大気中から採取した粒子は種々の構成成分から成り立っている点と、粒子径が多岐にわたることから、影響が異なることが容易に推定される。
しかし、粒子状物質の粒径を詳細に評価し、生体影響との関係を検討した研究はほとんど行われておらず解明が必要である。そこで、本技術代行・機器利用により、各種粒子の粒径測定を行い、免疫系への影響について検討するために基礎データの集積を行った。

2.実験(Experimental)
3次元SEM画像測定解析システムおよび走査型電子顕微鏡を用いて、各種粒子状物質の映像を取得し、画像解析により粒径測定を試みた。さらに、ゼータ電位/粒径測定システムを用いて、各種粒子状物質の粒子径分布を測定した。粒子状物質は全て、生理食塩水に一定濃度に懸濁したものを用いた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
3次元SEM画像測定解析システムおよび走査型電子顕微鏡を用いた画像取得は各種粒子の分散溶液の影響があり、測定は困難であった。
ゼータ電位/粒径測定システムを用いて、粒子径分布の測定を行ったところ、粒子濃度、測定時間を調整することで測定可能であることがわかり、複数の試料の測定を行った。測定結果の一部を図1に示す。
図1 日本で採取したPM2.5の粒径個数分布
351nm付近に粒径のピーク値を有し、1000nm程度まで分布している。
粒径による生体影響の差異は認められたが、粒径が影響寄与因子であるか、構成成分、付着成分等が影響寄与因子であるか、今後解明する必要がある。

4.その他・特記事項(Others)
「なし。」

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
「なし。」

6.関連特許(Patent)
「なし。」

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