利用報告書

QCMセンサの開発
忍 和歌子
日本電波工業株式会社

課題番号 :S-17-CT-0001
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :QCMセンサの開発
Program Title (English) :Development of QCM Biosensors
利用者名(日本語) :忍 和歌子
Username (English) :W. Shinobu
所属名(日本語) :日本電波工業株式会社
Affiliation (English) :Nihon Dempa Kogyo, Co., Ltd.

1.概要(Summary)
水晶振動子を利用したQCM(Quartz Crystal Microbalance)は、簡易バイオセンサの主流であるイムノクロマトと比較し定量性を有しており、特に医療現場計測への適用が期待されている。QCMはセンサ上に吸着した物質の質量を周波数変化量に置き換えるため、高感度化には比重の大きい金コロイド粒子による増感が有効である。今回、基礎試験として金コロイド粒子のQCMセンサ上への吸着状態を確認するため、FE-SEMによる詳細観察を行った。

2.実験(Experimental)
 日本電波工業(株)の30MHz QCMセンサの金電極上に1µg/mL濃度に調製したビオチン化BSAを成膜した。ストレプトアビジン被覆φ20nm金コロイド粒子をセンサ上に流しQCM計測機NAPiCOS Lite(日本電波工業(株), Fig1)にて周波数変化量を取得後、センサ表面を観察した。観察には千歳科学技術大学・分子物質合成プラットフォーム設置の電界放出形走査電子顕微鏡FE-SEM(日本電子社製 JSM-7800F)を用いた。

Fig1 NAPiCOS Lite とQCMセンサ

3.結果と考察(Results and Discussion)
 QCM測定の結果、金コロイド濃度(OD, Optical Density)依存的な反応の増加を確認した(Fig2)。

Fig2 φ20nm金コロイド粒子濃度と周波数変化量
このセンサをFE-SEMで10万倍にて観察したところ、金コロイド粒子が電極全体に分散している様子が観察された(Fig3左)。一方、φ40nmの粒子は一部凝集が見られた(Fig3右)。今後、金コロイドの凝集状態を観察しながらQCM計測に最適な粒径を決定する予定である。

Fig3 QCMセンサ上の金コロイドFE-SEM像 左φ20nm 右φ40nm

4.その他・特記事項(Others)
本研究の遂行にあたり、千歳科学技術大学の河野敬一先生、オラフ カートハウス先生、山崎郁乃様にFE-SEMの操作方法や試料の調製についてご指導頂きました。この場を借りて感謝の意を表します。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
 なし。

6.関連特許(Patent)
 なし。

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