利用報告書

QCMセンサ上への脂質コーティング
忍 和歌子
日本電波工業株式会社

課題番号   :S-16-CT-0001
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :QCMセンサ上への脂質コーティング
Program Title (English) :Lipid coating on QCM sensor
利用者名(日本語) :忍 和歌子
Username (English) :Wakako Shinobu
所属名(日本語) :日本電波工業株式会社
Affiliation (English) :Nihon Dempa Kogyo, Co., Ltd.

1.概要(Summary)
人間の舌はコクを苦味や渋味、甘味などの「味成分」の吸着量で判断している。そこで微量な質量を計測できる水晶振動子をセンサ基板としたQuartz Crystal Microbalance(QCM)システムを用い、味成分の吸着量を計測すればコクの定量化が可能になると考えた。舌の細胞膜を模倣した脂質膜をセンサ上に塗布して味覚センサとし、実際にビールのコクが計測できることを確認した。また2014年、2015年の千歳科学技術大学のスピンコーター及びFE-SEM等の機器利用により、均一な脂質膜塗布プロトコルを完成させた。今回はこの味覚センサを作製し、ビール以外の飲料についてコク計測が可能か確認した。

2.実験(Experimental)

QCMセンサは水晶片上に金薄膜を蒸着したものである(図1左)。脂質溶液をスピンコーター回転中に滴下し、脂質センサとした。日本酒のコク計測は日本電波工業社製のQCM味覚計測システム(PSA20A-TS)を用いた(図1右)。

<図1 左:QCMセンサ、右:QCMシステム>

3.結果と考察(Results and Discussion)

日本酒について各メーカー市販品のコク計測を実施した。6種類の多様な日本酒で比較したところ、周波数変化量(味覚センサ値、Hz)に差が見られ、コクの差を反映していると考えられた。また脂質膜表面を再生液で再生しながら2回計測した結果、高い再現性が得られた。今後は官能試験との相関を検証する必要がある。
この結果から、本味覚センサはビール以外の飲料のコクについても適用でき、精度良く計測可能と考えられた。脂質膜溶液をQCMセンサ上に均一に塗布できたためと考えられる。他の飲料、食品についても適用可能か検討する。

<図2 味覚センサによる日本酒のコク計測結果>

4.その他・特記事項(Others)
支援者:オラフ カートハウス教授

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

©2025 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.