課題番号 ：S-16-MS-1007
利用形態 ：機器利用
利用課題名（日本語） ：Rh触媒を用いた単層カーボンナノチューブの低温成長
Program Title (English) ：Single-walled carbon nanotube growth at low temperature using Rh catalysts
利用者名（日本語） ：桐林星光1),小澤顕成1)，丸山隆浩2)
Username (English) ：H. Kiribayashi1), A. Kozawa1), T. Maruyama2)
所属名（日本語） ：1) 名城大学大学院理工学研究科, 2) 名城大学理工学部
Affiliation (English) ：1) Department of Materials Science and Engineering, Meijo University, 2)Department of Applied Chemistry,Meijo University

１．概要（Summary ）
単層カーボンナノチューブ（SWCNT）のエレクトロニクス応用実現には作製温度の低温化が望まれている。本研究では，Rhを触媒に用いることで，SWCNT成長温度の低温化を試みた。
２．実験（Experimental）
SWCNT作製は，高真空タイプのコールドウォール型化学気相成長（CVD）装置により行った。触媒にはAl2O3/SiO2/Si基板上に堆積させたRh粒子を用い，炭素原料にはエタノールを用いた。作製したSWCNTは，ラマン分光，走査電子顕微鏡（SEM）および透過電子顕微鏡（TEM）により評価した。
３．結果と考察（Results and Discussion）
図に270℃と320℃で作製した試料のラマンスペクトルを示す。RBM(Radial Breathing Mode)ピークが観測されたことから，SWCNTが生成したと考えられる。エタノール圧力を最適化することにより，270℃から600℃の広い温度範囲で SWCNTを生成することができた。他の触媒と同様，作製温度が低くなるほど生成量は減少し，直径分布は狭くなった。TEM観察とラマン分光測定の結果から，作製温度370℃のとき，SWCNTの直径は概ね1.0 nmから1.2 nmの間に分布していた。
図　270℃と320℃で作製した試料のラマンスペクトルの低波数領域
270℃は，SWCNTの作製温度としては報告されている中で最も低く，また，320℃で作製した試料のラマン分光測定からG/D比は4程度あり，低い作製温度にもかかわらず比較的結晶性のよいSWCNTが生成することがわかった。すなわち，Rhは低温領域でのSWCNT生成に有効な触媒であることが示された。
４．その他・特記事項（Others）
本研究の一部は，私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「グリーンイノベーション研究拠点形成プロジェクト」の支援を受けました。ラマン分光測定とSEM観察では，分子科学研究所の売市幹大技術職員と中尾聡研究員に，また，TEM観察では名古屋工業大学の日原岳彦教授のお世話になりました。
５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1) T. Maruyama, Y. Kozawa, T. Saida, S. Naritsuka, S. Iijima, Carbon, Vol. 116 (2017) p.p.128-132.
(2) H. Kiribayashi, T. Fujii, A. Kozawa, S. Ogawa, T. Saida, S. Naritsuka, T. Maruyama, J. Cryst. Growth, in press.
(3) H. Kiribayashi, T. Fujii, T. Saida, S. Naritsuka, T. Maruyama, MRS Advances, published online.
(4) T. Maruyama, A. Kozawa, T. Saida, S. Naritsuka, S. Iijima, 2016 MRS Fall Meeting, 平成28年11月28日.
(5) H. Kiribayashi, S. Ogawa, A. Kozawa, T. Saida, S. Naritsuka, T. Maruyama, ICCGE18，平成28年8月8日.
６．関連特許（Patent）
なし