利用報告書
課題番号 :S-17-NM-0106
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :SERSチップ開発
利用者名(日本語) :梶田 浩志
所属名(日本語) :SCIVAX株式会社 微細加工事業本部
1.概要(Summary)
Surface enhanced Raman scattering(SERS)チップは各社から販売されているが、チップ間の定量性のバラつきがあり、特に低濃度サンプルの定量を目的とした用途への使用は難しい。このバラつきは、微細加工の不均一性が理由と考えられる。また、チップの価格が高く、使い捨てする用途には向かない。
これに対し当社は、均一かつ大面積加工が可能なナノインプリント装置を開発しており、この装置での加工により、バラつきの少ない定量が可能で、低価格SERSチップを作成できることが期待できる。
本年度は、当社の標準パターンから作成したSERSチップの均一性を評価し、さらに様々な微細パターンでの定量データを取得した。今後は、これらのデータを用いて、光学シミュレーションにより、最適構造を計算し、さらなる高性能SERSチップを作成する予定である。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
ラマン顕微鏡
【実験方法】
当社で開発のナノインプリント装置により、4inchシリコン基板上にレジストの微細加工を行った。加工の面内均一性および正確性を確認するため、SEMや当社開発のマクロ検査装置などの光学評価で検査をおこなった。同成型物に、マグネトロンスパッタ装置を用いてAuをスパッタした。SEMを用いて断面および表面の評価により、Auの膜厚と、均一性を確認した。
このチップを5mm角にカットし、ラマン顕微鏡にてバックグラウンドの評価を行った。
3.結果と考察 (Results and Discussion)
ナノインプリント後の評価で均一性を確認後、AuをスパッタしたサンプルのSEM評価を行った(Fig. 1)。形状やその他データから、スパッタした後でも、均一性が高く保たれていることが分かった。
同チップを用いて、ラマン顕微鏡で定量評価を行ったところ、バックグラウンドが低くかつ誤差が小さいことが分かった(Fig.2)。また1uM Rhodamine 6Gの定量においても低い誤差であり、定量に使えることが示唆された(Data not show)。
Fig.1 Surface SEM image of chip
Fig.2 Back ground error between five chips
4.その他・特記事項(Others)
ラマン顕微鏡の利用にあたり、NIMS分子・物質合成PFの服部様に、技術トレーニングおよび解析のアドバイスを頂いた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。