利用報告書

Snコートされたミラー材料の損傷およびクリーニング効果の検証
田中のぞみ(大阪大学レーザー科学研究所)

課題番号 :S-20-OS-0005
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :Snコートされたミラー材料の損傷およびクリーニング効果の検証
Program Title (English) :Evaluation of damage and cleaning effect of Sn coated mirror surfaces
利用者名(日本語) :田中のぞみ
Username (English) :Nozomi Tanaka
所属名(日本語) :大阪大学レーザー科学研究所
Affiliation (English) :Institute of Laser Engineering, Osaka University

1.概要(Summary )
レーザー駆動プラズマEUV装置内において、ミラー表面にスズによる汚染が堆積しミラー特性を劣化させることが分かっている。本研究では、レーザー研において1013 cm-3程度の水素プラズマを用いたスズ汚染除去方法を研究する。これまでは電子ビーム装置によりスズ層を蒸着していたが、スズ粒子が球状の粒のように堆積する問題を抱えていた。スパッタ法を用いることでより接触角の小さいSn層ができるかどうかを明らかにするため。RFスパッタ装置でスズ蒸着により汚染サンプル作成をする。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
RFスパッタ装置

【実験方法】
RFスパッタ装置によりスズをミラー材料に蒸着した。蒸着前に基板の温度を上昇させておくことで膜質の均質性を改善させられる[1]ため、本実験でも473.15 K付近まで蒸着前に加熱した。作成したスズコート試料の表面および断面観察を高精細集束イオンビーム装置およびSEM付集束イオンビーム装置で行い、蒸着膜厚を測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 Fig. 1に(a)電子ビーム装置と(b)RFスパッタ装置で成膜したサンプルのSEM像を示す。RFスパッタ装置で成膜したSn層には大きな表面との接触角の改善はみられなかった。また大きな粒径のスズ上に小さな粒径のスズが付着している形状が確認された。単に球状のスズが堆積しているのに比べ、このような形状は汚染除去評価を定量的に行うことを難しくする。このため、スズ汚染堆積層の除去実験に使用するには電子ビームデバイスの方が適切との結論に至った。

4.その他・特記事項(Others)
【参考文献】
[1] S. SUGIHARA, K. OKAZAKI, K. SUGANUMA, “Wetting of silicon single crystal by silver and tin, and their interfaces“, JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE 28 (1993) 2455-2458

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Nozomi Tanaka, Baojun Zhu, Chang Liu, Katsunobu Nishihara, Shinsuke Fujioka, Kyung Sik Kang, Youngduk Suh, Jeong-Gil Kim, Ken Ozawa, Minoru Kubo, “Cleaning of tin layer on EUV multilayer mirrors by the EUV induced hydrogen plasma”, 応用物理学会春期学術講演会, オンライン 2021年3月18日

6.関連特許(Patent)
無し

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