利用報告書
課題番号 :S-17-JI-0041
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :TiO2薄膜の作製手法による価電子帯変化の調査
Program Title (English) :Valence band position of TiO2 thin film deposited by several techniques
利用者名(日本語) :石河泰明
Username (English) :Y. Ishikawa
所属名(日本語) :国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学
Affiliation (English) :Nara Institute of Science and Technology
1.概要(Summary )
TiO2は、一般的なN型半導体として広く利用されている。近年注目を集めているペロブスカイト型太陽電池では電子輸送層として利用されており、高温焼成した高品質TiO2膜により高効率化が達成されている。また、低コスト材料でもあり熱電材料への展開も期待できる。しかし、低温プロセスで作製した場合のバンドアライメントなどの基礎的物性の知見が少ない。そこでTiO2膜を低温形成技術により作製し、本支援でそのイオン化ポテンシャルを評価することで、従来法で作製したTiO2膜との変化を確認することを目的とした。結果として、高温プロセスによるTiO2と低温プロセスによるTiO2で、イオン化ポテンシャルに大きな差がないことが判明した。
2.実験(Experimental)
正・電光電子分光装置(PYS-200+IPES)及び光電子分光装置(UPS AC-2)を利用して、電子線蒸着法及びスピンコート法により作製したTiO2薄膜のバンドアライメントを計測した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
正・逆光電子分光装置によりイオン化ポテンシャルを計測した結果、電子線蒸着法及びスピンコート法によるTiO2膜においてはイオン化ポテンシャルには大きな変化がないことが判明した。このことから、バンドギャップなど他光学特性や結晶性がデバイス特性へ影響することが明らかとなった。
また塗布TiO2の基礎的データが得られた。本材料は、熱電材料などの他電子デバイスへの利用における基礎的知見であり、本支援により入手することができた。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし