利用者インタビュー

―小川先生、ご無沙汰しております。(インタビュアーと旧知)いつも報告書で先生のお名前を拝見しておりましたが、いつもご利用ありがとうございます。(笑)

こちらこそ、頻繁に使いに行かせていただいて、ありがとうございます。

―そもそも分子研(ナノテクノロジープラットフォーム)は何で知られたのですか?

ちょうど愛知学院大に来たのが7年前なのですが、使いたい機器が大学内にあるのかもわからない状況でした。そこでメーカーに直接「うちの大学にこの装置入ってますか?」と聞いたのですが、「そちらには導入していませんが、分子研にあって使えますよ!使い方は~」と詳しく教えて頂いたのです!

―メーカーさん、ナイスです!

自分の大学にないと知ったときは絶望にも近い心境だったのですが、非常に詳しく教えて下さり、実際に何度も利用させて頂く事になり、ありがたい限りです。
その後、周囲の先生方にも教えました。でもあまりにも有名になりすぎるのも・・と思ってしまうのですが(笑。(他の薬学部の先生にもTEMを利用していただいています。現在分子研では廃棄したため、名古屋大学で支援を継続中です。)

―先生の研究テーマであるシクロデキストリン(CD)包接複合体というのはどういうものですか?

CDの構造はバケツの底がないような形をしています。その内側は疎水性で様々な化合物を取り込む事ができます。不安定な化合物や水に溶けにくい化合物などを取り込ませ、製剤化するというのが研究テーマです。CD包接複合体というのは既に製剤として販売されているものもあるのですが、私は基礎研究として、CDと化合物との相互作用や挙動などを単結晶X線回折測定装置を使い詳細に分析しています。
実際の測定では分子運動を低くするため低温で窒素を吹き付けて、単結晶X線回折を測定しています。

―製剤というと、製品開発を研究しているというイメージがありました。

もちろん、製品開発につながる製剤化に関する研究テーマも多くあります。製剤学は薬学部の研究の中では一番患者さんに近い学問とも言えますよね。ですから企業との共同研究も沢山ありますし、製品化につながるような研究も行っています。ただ、このテーマに関しては、企業とは異なるアプローチとして基礎研究を行っています。企業の方はここまで詳細な基礎研究は行えないので、共同研究として情報交換も行っています。製剤の設計にももちろん基礎的なデータは必要となってきますから。

患者さんと一番近い薬学研究

―実際に分子研を利用されてどうでしたか?

機器の操作は基本的には自身で行っているのですが、トラブルやわからない事があると頻繁に技術職員さんを内線で呼んでおります・・ブラックリストに入っていないか心配です・・(大丈夫です!)
皆さんとても親切で、細かな所まで教えてくださるので、こちらもきちんと操作を覚える事ができますし、解析ソフトも使えるようになりました。

―分子研を利用するメリットは何でしょうか?

まず、所有していない装置が使える事です。そのほか、学生をいつも連れていくのですが、他の機関を見せる事で刺激を与えられていると思います。

 

―先生のこれからのご研究と目標について教えて下さい。

薬を作る事を通して患者さんの役に立つ、というのが薬学の魅力だと感じています。
メーカーに近い所で、製品に繋がる事とリンクした基礎研究ができるという事もあります。
これからも分子研や他の機関の機器に助けてもらいながら、役に立つ研究を続けていきたいと思います。

 

 

 

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