利用報告書

多環芳香族炭化水素分子のレーザー分光
御園雅俊
福岡大学理学部

課題番号 :S-17-MS-1054
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :多環芳香族炭化水素分子のレーザー分光
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :御園雅俊
Username (English) :
所属名(日本語) :福岡大学理学部
Affiliation (English) :

1.概要(Summary )
多環芳香族炭化水素(PAH)は代表的な有機分子であり、その励起分子ダイナミクスは非常に興味深く、光学素子や半導体などへの応用も期待されている。本施設利用研究では、ベンズアントラセンなどの比較的大きなPAH分子について高分解能レーザー分光を行い、それぞれの分子の構造とダイナミクスを明らかにすることを目的として、広い波長領域にわたって質の高いスペクトルを測定し、量子化学理論計算の結果を基に振電バンドの帰属を行った。

2.実験(Experimental)
機器センター所有の大出力ナノ秒パルス色素レーザーシステム(Coherent, Lambda Physik Compex Pro 110, LPD3002)によって高感度に分子からの発光を検出し、高温パルスノズルと超音速ジェットの装置を用いて、ベンズアントラセン冷却孤立分子の高分解能けい光励起スペクトルを測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
図2は、ベンズアントラセン分子の超音速ジェット中の高分解能けい光励起スペクトルである。S1←S0遷移は許容で、0-0バンドが強く観測される。。多くの振電バンドが観測されていて、これは分子の対称性が低いことに起因している。また、29000 cm-1付近に幅の広い大きなピークが観測されており、これはS2←S0遷移に帰属される。ベンズアントラセン分子は2回回転軸を持っておらず、分子のサイズも比較的大きいので、多くの電子励起状態が近接していると考えられる。その間の相互作用も大きいと予想され、エネルギー準位の構造は複雑になっている。今後、重水素置換体の実験も視野に入れ、測定と解析を進めていきたい。
 

4.その他・特記事項(Others)
本研究の遂行に当っては、山中孝弥技術課長補佐と機器センター(ナノプラット)事務室の兵藤由美子さんに大変お世話になりました。深く感謝いたします。

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