利用報告書

メソポーラス有機シリカ粉末のイオン化ポテンシャル測定
猪飼 正道
(株)豊田中央研究所

課題番号 :S-15-OS-0040
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :メソポーラス有機シリカ粉末のイオン化ポテンシャル測定
Program Title (English) :Ionization potential measurements of periodic mesoporous organosilica powder
利用者名(日本語) :猪飼 正道
Username (English) :Masamichi Ikai
所属名(日本語) :(株)豊田中央研究所
Affiliation (English) :Toyota Central R&D Labs., Inc.
キーワード/Keyword    :イオン化ポテンシャル測定装置、光電子収量分光法、メソポーラス有機シリカ、イオン化ポテンシャル

1.概要(Summary)
メソポーラス有機シリカ粉末材料を用いた光触媒系の構築を行っているが、(1) 反応機構解明 と (2) 高効率な酸化・還元系の設計指針を得るため、材料のエネルギー準位の知見を得ることが重要である。そこで本研究では、エネルギー準位を見積もるため、大阪大学ナノテクノロジー設備供用拠点の設備を利用して光電子収量分光法(Photoelectron yield spectroscopy (PYS))により有機シリカ粉末のイオン化ポテンシャル測定を行った。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
S18 イオン化ポテンシャル測定装置(分光計器製 BIP-KV202GD型)
【実験方法】
ガラス基板に導電性カーボン両面テープを貼り付け、その中央に粉末試料を薄く均一に塗りつけた。テープの両端にアルミホイルを付け試料とした。イオン化ポテンシャル測定装置を用い、5×10−2 Pa以下の真空中にて試料に電圧を印加し、光電子収量分光法(PYS: Photoelectron Yield Spectroscopy)によりイオン化ポテンシャル測定を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
モデル錯体であるRu(bpy)3Cl2 6H2O (Fig. 1(a))のイオン化ポテンシャルの値は5.9 eVであった(Fig. 2)。それに対し、ビピリジン架橋メソポーラス有機シリカ(BPy-PMO)粉末の細孔表面にRu錯体を固定したRu-BPy-PMO(Fig. 1(b))は、光電子収量の立ち上がりがやや緩やかではあるが、イオン化ポテンシャルの値は約6.0 eVで、モデル錯体とほぼ同じ値になった(Fig. 2)。

Figure 1. Chemical structure of (a) Ru(bpy)3Cl2 6H2O and (b) Ru-BPy-PMO.

Figure 2. (Y: Photoelectron yield)1/3 spectra for Ru(bpy)3Cl2 6H2O and Ru-BPy-PMO.
4.その他・特記事項(Others)
装置使用方法に関してご対応下さいました、大阪大学ナノテクノロジー設備供用拠点の北島 彰 様に感謝致します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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