利用報告書

ESIPT型蛍光色素BTImPとアニオンとの錯形成評価
土屋早紀、坂井賢一
千歳科学技術大

課題番号 :S-17-CT-0019
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ESIPT型蛍光色素BTImPとアニオンとの錯形成評価
Program Title (English) :Complex formation of the ESIPT fluorophore of BTImP with anions
利用者名(日本語) :土屋早紀、坂井賢一
Username (English) :S. Tsuchiya, K. Sakai
所属名(日本語) :千歳科学技術大学
Affiliation (English) :Chitose Institute of Science and Technology

1.概要(Summary)
ESIPT型蛍光色素のBTImPは、その希釈溶液中にHClO4やHBF4のような酸化合物を添加した場合にのみ、添加濃度に依存して赤、青、緑、白のフルカラー蛍光を示す。プロトン化したBTImPとClO4-やBF4-イオンとの間で錯体を形成することが多色蛍光発現に重要であるという仮説を立てている。それを検証するため、重窒素化したBTImPを合成し、15N-NMR測定によりBTImPとアニオンとの相互作用について評価した。

2.実験(Experimental)
15N-BTImPに対し、プロトンデカップルおよびノンデカップルで15N-NMRを測定した。外部標準として15N-硝酸アンモニウム(DMSO溶媒)を用いた。
利用装置:
・超伝導核磁気共鳴装置(NMR):JEOL JNM-ECP400

3.結果と考察(Results and Discussion)
 Figの下段にTHF-d8 溶媒中での15N-BTImPの15N-NMRスペクトルを示す。重窒素を導入したイミダゾール環窒素からのシグナルが246 ppmに明瞭に観測された。そこにHClO4(Fig上段)やHBF4(Fig中段)を添加すると、シグナルは183 ppmへと高磁場側に大きく移動することが確認出来た。これはイミダゾール環窒素がプロトン化されたことを示している。酸化合物の添加で蛍光色は緑から赤(HClO4)や白(HBF4)に変化しているが、その時のNMRスペクトルには、もう一つ別のシグナルが現れていることがわかる(163 ppm: HClO4, 185 ppm, HBF4)。これらのシグナルは、イミダゾール環のプロトンにClO4-やBF4-が配位していることを示唆している。シフト量の違いから、アニオンとの相互作用の強さも評価することが出来た。

4.その他・特記事項(Others)
特になし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Color Changes of a Full-Color Emissive ESIPT Fluorophore in Response to Recognition of Certain Acids and Their Conjugate Base Anions, S. Tsuchiya, K. Sakai, K. Kawano, Y. Nakane, T. Kikuchi, T. Akutagawa, Chem. Eur. J. 2018, 24, 5868 – 5875.
(2) 分子内水素結合を切替え可能なESIPT色素BTImPの固体蛍光クロミズムと多色蛍光発光, 土屋早紀、坂井賢一、河野敬一、中根由太、菊地毅光、芥川智行(千歳科技大, 東北大多元研)第11回分子科学討論会 2017年9月、東北大
(3) Multicolor fluorescence by two-step switching of hydrogen bond in the ESIPT fluorophore of BTImP, S. Tsuchiya, K. Sakai, K. Kawano, Y. Nakane, T. Kikuchi, T. Akutagawa (CIST, IMRAM Tohoku Univ.) 18th Chitose International Forum on Photonics Science and Technology, 2017.10.10 at CIST in Chitose
6.関連特許(Patent)
なし

©2019 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.