利用報告書

MDP-Ca添加ワンステップシステムボンディング材の開発
藤田裕介, 倉重圭史
Yuusuke Fujita, Yoshihito Kurashige

課題番号 :S-17-CT-0014
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :MDP-Ca添加ワンステップシステムボンディング材の開発
Program Title (English) :Development of the all-in-one self-adhesive material with MDP-Ca
利用者名(日本語) :藤田裕介1), 倉重圭史1)
Username (English) :Yuusuke Fujita, Yoshihito Kurashige
所属名(日本語) :1)北海道医療大学歯学部 口腔構造・機能発育学系小児歯科学分野
Affiliation (English) :1) Division of Pediatric Dentistry, Depertment of Oral Growth and Development,    
              Health Sciences University of Hokkaido,

1.概要(Summary)
歯科臨床では接着性修復材料が多用され、今日の歯科治療において必要不可欠な存在であるが、接着性能など改善すべき点も残されている。これまでの報告から、接着性モノマーである4-methacryloyloxyethyl trimellitate anhydride(4-MET)にカルシウムを結合させたカルシウム塩(4-MET-Ca)が開発され、シーリングコート材へ添加することで、長期耐久性の向上や象牙質再石灰化能の発現が示唆されている1)。一方、接着性モノマーである10-Methacryloxydecyl dihydrogen phosphate (MDP)は、歯質との高い化学的結合力を有する報告があるが2)、MDPのカルシウム塩(MDP-Ca)を添加した影響については研究されていない。予備実験の結果、MDP-Caを添加したオールインワンシステムボンディング材は初期接着力が向上した。そこで、本研究ではMDP-Ca添加ボンディング材の性質を検討するために、接着界面にアルゴンエッチング処理を行い、電子顕微鏡を用いて表面性状を観察した。
2.実験(Experimental)
ヒト抜去歯は精密低速切断機を用いて、健全象牙質を露出させた。健全象牙質に対し1.5%MDP-Caを添加したボンディング材を用いて歯面処理を行い重合させた。歯面処理した試料は、37℃の人工唾液中に24時間浸漬させ、保管した。保管後の試料は、接着界面に対し垂直に切断し、アルゴンエッチング処理を行った後、千歳科学技術大学・分子物質合成プラットフォーム設置の電界放出形走査電子顕微鏡FE-SEM(日本電子社製 JSM-7800F)を用いて接着界面の観察を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
MDP-Caを1.5%添加したボンディング材は人工唾液浸漬後、アルゴンエッチングに耐性を認める変化がボンディング層において観察された(図中の*)。

この現象について報告はされていないが、アルゴンエッチングは物理的な照射方法であるため、MDP-Caの添加がボンディング材の機械的物性を向上させると推測した。
今後は人工唾液中へボンディング材を経時的に浸漬させ、アルゴンエッチングを行った場合のボンディング層の構造について検討する予定である。また、蒸留水中へ浸漬させた場合について、同様に観察を行う予定である。
4.その他・特記事項(Others)
・参考文献
1)甕富美子ら, 新規接着性モノマーCMET配合シーリングコート材の象牙質接着性および再石灰化誘導能.日歯保存誌 58, 143-156, 2015.
2)Yoshida Y et al., Comparative study on adhesive performance of functional monomers. J Dent Res 83, 454-458, 2004.
・謝辞
本研究の遂行にあたり、千歳科学技術大学の河野敬一先生、山崎郁乃様に電界放出形走査電子顕微鏡FE-SEM(日本電子社製 JSM-7800F)の操作方法や試料の調整についてご指導頂き、この場を借りて感謝の意を表します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)

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