利用者インタビュー

―会社の設立と、どのようなご研究かを教えて下さい。

プレアデステクノロジーズは、私が定年後に発案したアイデアを実現するために設立しました。元々大手メーカーで有機ELなどの材料およびデバイス開発を行っていましたが、信頼できる仲間にアイデアを話し、研究開発を本格的に着手するため、ベンチャー企業としてスタートしました。
今行っている研究は、ガンの新しい治療機器の開発です。

―ガンの治療と言えば、化学療法や放射線療法などでとても副作用が辛いと聞きます

ガンの治療法はそのほかでは手術や光免疫法、重粒子線や分子標的治療などがありますね。私が取り組んでいるのは光線力学療法と呼ばれる方法です。一重項酸素(活性酸素)によってガン細胞を壊すのが他の治療法とは異なります。

―光線力学療法について詳しく教えて下さい。

ガン組織に特異的に蓄積する物質(光増感剤)を利用します。体内に光増感剤を注入し、それらが吸収する波長の光を体外から照射し、励起状態になった光増感剤から酸素にエネルギー移動させ一重項酸素(活性酸素)を発生させて、ガン組織を死滅させます。
この方法はガン以外にも、感染症などの細菌にも効果があるとの報告があります。この場合、抗生物質を使わなくて済むメリットがあります。

―他の方法に比べてよい点を教えて下さい。

副作用が少なく、適用範囲が広い(皮膚ガンや肺ガン、ニキビやシミなど)、事が挙げられます。照射機器としてはレーザーやLEDが用いられていますが、今後より小型、安価にしたいと思い、ポータブルデバイスに着目しました。

皮膚に貼ったり、体内に埋め込めるフレキシブル光源を開発

―貼れる有機ELを作成

このように、有機EL光源で絆創膏のようなデバイスを開発しました。
例えば皮膚に貼ってデバイスを光らせると、シミが消えるようなことにも使えると考えています。
将来は体内に埋め込んだ発光素子をワイヤレスで電力を送信することによって遠隔で光をON/OFFさせ、従来困難であった内蔵ガンを治療できるようになればいいなと思っており大学の医学部および工学系研究室と連携して開発しています。

―このような研究のアイデアはどのようにしてできたのでしょうか?

光線力学療法に出会った時に構想が浮かびました。ただし、もともとものづくり畑の人間ですので、医療に関しては知識がありません。そこで学会発表をすることで医学部の先生から声をかけていただきました。ベンチャー立上げ後は文献や業界の人と話をすることで知識を広げ医工連携の体制づくりをしました。デバイスは作れても、病気の事は詳しくないですからね。

―まさに融合研究ですね。デバイスの設計・作製はどのように進めているのでしょうか?

会社には私と同じように、メーカーを退職した人に声をかけて一緒にやっています。デバイス作製にはメカや電気の知識も必要なのでデバイスの設計を一緒にやり、公設試等の協力も得ながら試作を行っています。

―ナノテクノロジープラットフォーム利用のキッカケとは?

元々九大の産学連携に所属していたのもありますが、分析に困っている時に分析NEXT(九州大学学術研究都市の一つの機能)に相談しました。その際、ナノテクノロジープラットフォームを紹介していただき、利用に至りました。

―ナノプラ利用の前には九州大学 後藤雅宏先生とも研究されています。

私の研究では光増感剤を皮膚に塗布し、患部に光を照射するのですが、より深く浸透させられないかと思い、S/O化技術についても相談させて頂きました。
なかなかスムーズにはいかなかったのですが、現在も検討を続けています。

―ナノプラを実際に利用してみてどうでしたか?

機器利用に関しては、技術スタッフの方が分離精製方法まで検討してくださいました。
特に皮膚浸透後の成分分析では、夾雑物が多い物質の分析は大変だったと思うのですが、根気よくご支援いただきました。
ナノプラは単なる機器を使わせてもらったというよりも、そのスタッフの方のノウハウと腕に頼る所が多かったですね。確かに装置は他の大学等にもあるでしょうが、私は九大にお願いしてよかったと思っています。

―最後にベンチャー企業を立ち上げての大変さとこれからの事についてお聞かせ下さい。

定年後は、信頼できる仲間と大企業ではできない面白い事をやりたい、と思ってベンチャー企業を立ち上げましたが、もちろんお金や人手など大変な事は日々あります。ただ、過去に信頼関係ができた人脈は極めて重要で、人とのつながりを通じて新しい世界が広がるのだなと実感しています。

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