利用報告書
課題番号 :S-17-NI-0001
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :Pd粒子を分散させた多孔質WO3セラミクスの水素センサー特性
Program Title (English):Hydrogen sensor characteristics of Pd particle-dispersed porous WO3
ceramics
利用者名(日本語) :宮代将成
Username (English) :M.Miyashiro
所属名(日本語) :名古屋工業大学 工学研究科
Affiliation (English):Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology
- 概要(Summary)
酸化タングステンWO3は水素の取り込みによりHxWO3となることで、バンド構造が変化し電気抵抗率が大きく減少する。この反応を利用したWO3水素ガスセンサーの開発が期待されている。本研究では、多孔質WO3中に水素解離触媒としてPd粒子を分散させた多孔質Pd−WO3を油圧プレスにより作製した(Fig. 1)。そして、試料を低分圧の水素ガスに暴露した際の抵抗率変化を測定し、緩和時間の温度依存性・粒径依存性を評価した。
- 実験(Experimental)
試料は以下の手順で作成した。
①各粉末試料をWO3:Pd=95:5 (at %)となるように秤量する。
②乳鉢を用いて1 h混合・粉砕する。
③蒸留水中で攪拌し、乾燥させた後ニュートンプレス装置を用いて、直径10mm、厚さ1mmのペレット試料に形成する。
④7.1×10-2Pa(O2)雰囲気下で973K / 2hで熱処理を行った。
⑤試料表面上にAu電極をヘリコンスパッタ装置を用いてスパッタし、Niリード線を接続した。
作製した試料をヒータ付きの真空装置に取り付け、油回転ポンプで真空引きした。その後、装置を真空排気しながらマスフローコントローラで水素ガス流を導入し続けることで、低分圧の水素ガス雰囲気を作製する。この雰囲気における多孔質Pd−WO3試料の抵抗率変化を直流四端子法で測定した。
- 結果と考察(Results and Discussion)
多孔質Pd−WO3試料の水素暴露による抵抗率変化をFig. 2に示す。グラフの縦軸には、抵抗値Rを水素導入直前の初期抵抗値R(0)で規格化し、対数を取った値を示す。この結果にフィッティングを行うことで、緩和時間を求めたところ、2つの過程が存在することが分かった。1つは試料中の水素の拡散に寄与し、もう1つは試料表面のPd触媒上での水素解離に起因すると考えられる。
- その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
宮代将成(名古屋工業大学),「Pd粒子を分散させたWO3セラミクスの水素センサー特性」,第27回 学生による材料フォーラム,名古屋工業大学,2017年11月16日
6.関連特許(Patent)
なし