利用報告書

クロロフィル分解系酵素の発現と精製

課題番号 :S-20-KU-0027
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :クロロフィル分解系酵素の発現と精製
Program Title (English) :Expression and purification of enzymes involved in chlorophyll metabolism
利用者名(日本語) :杉島正一
Username (English) :M. Sugishima
所属名(日本語) :久留米大学医学部
Affiliation (English) :Kurume University School of Medicine

1.概要(Summary )
大腸菌を用いて組み換え蛋白質として強制発現させ、各種クロマトグラフィーにおいて精製したクロロフィル分解酵素について、質量分析を行った。得られた分子量はアミノ酸配列から推定される分子量と全く異なることから精製された蛋白質は目的の蛋白質ではないことが分かった。

2.実験(Experimental)
精製試料は塩を含んだ状態であったため、脱塩カラム(Hitrap Desalting)による脱塩を行い、続いて凍結乾燥を行った。この試料を溶媒に溶解し、JEOL社製 質量分析装置JMS-T100CSを用いたポジティブモードでのESI-MS測定を行った。標準試料として、我々が以前に結晶構造決定を行ったシロイヌナズナ由来Red chlorophyll catabolite reductase(AtRCCR,参考文献)についても同様に測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
標準試料として測定したAtRCCRについて、図1の結果が得られた。この結果から推定される分子量は約31360 Daであり、アミノ酸配列から推定される31335 Daによく一致する値であった。次に目的のクロロフィル分解酵素について測定した結果を図2に示す。図2の結果から推定される分子は約20840 Daであり、
アミノ酸配列から推定される分子量である28533 Daとは全く異なる値であった。したがって、今回の精製試料の主成分は目的の蛋白質ではないことがわかった。

図1 AtRCCRのESI-MS測定

図2 クロロフィル分解酵素のESI-MS測定
4.その他・特記事項(Others)
本測定を行っていただいた九州大学工学部技術部の増子 隆博様、善 文比古様に感謝致します。
参考文献:Sugishima M. et al. (2010) J. Mol. Biol. 402, 879-891.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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