利用報告書

コバルト鉄酸化物を用いる新規酸素還元触媒の開発

課題番号 :S-20-KU-0028
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :コバルト鉄酸化物を用いる新規酸素還元触媒の開発
Program Title (English) :Development of the oxygen reduction reaction catalyst using FeCo oxide
利用者名(日本語) :Yu Hsu Chang
Username (English) :Y. H. Chang
所属名(日本語) :台北科技大学
Affiliation (English) :National Taipei University of Technology

1.概要(Summary )
鉄コバルト合金ナノ粒子は水電解をはじめとする様々な触媒反応への利用が期待されている。水電解は高純度なオンサイト水素精製技術として注目を浴びている。高効率な水電解には効率の良い水酸化触媒が必要であり、酸化イリジウムが高い耐久性と効率を両立した触媒として用いられている。しかし、酸化イリジウムは導電性に乏しく、導電性助剤を入れるのが好ましい。さらに酸化イリジウムは高価であることから安価な触媒への転換が求められており、鉄コバルト合金もその一つである。安定なナノ粒子を用いるためには坦持体に固定化することが好ましい。従って、導電性担体が必要となるが、従来のカーボンブラックはその高い酸化電位のために用いることができない。そこでCNTの利用を検討している。昨年度まで酸化イリジウム担持CNTが世界最高レベルの質量活性を示すことを見出していた。イリジウムに替えて鉄コバルト合金を担持した電極触媒の利用を考えている。

2.実験(Experimental)
MWNT (15 mg) とPBI (5 mg) をジメチルアセトアミド (DMAc) 溶液に1時間超音波処理後、濾過洗浄し、乾燥後黒色の固体 (MWNT/PBI) を得た。水熱法により鉄コバルト合金の担持作業を行い、走査型電子顕微鏡観察を行い、担持状態の解析を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に水熱合成後による鉄コバルト合金担持後の電子顕微鏡写真を示した。特徴的なフラワー状の粒子が多数見られ、合金の生成が確認できた(図1上)。しかし、CNTの構造は近傍には見れらなかった。詳細な観察の結果、CNTは粒子の担持を期待し、粒子状の

図1.合金合成後のSEM写真

見れらなかった(図1下)。このことから、MWNT/PBI表面の疎水性が高く、分散性が悪かったことが原因と考えられる。表面の親水化を行う必要があると考察される。これまで白金やパラジウムなどの担持に成功していることから、鉄コバルト合金においても条件を適切に設定すれば担持が実現できると考えている。今後、親水化処理などを行い、担持を再検討していく。
4.その他・特記事項(Others)
MWNT/PBIの合成はナノテクプラットフォームテクニカルスタッフの荒谷弘幸氏に実施頂いた。ここに謝意を示す。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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