利用報告書
課題番号 :S-20-KU-0033
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :共役系高分子を用いた半導体性カーボンナノチューブの抽出
Program Title (English) :Extraction of semiconducting carbon nanotube using conducting polymer
利用者名(日本語) :Weishi Li
Username (English) :W. Li
所属名(日本語) :中国科学技術院
Affiliation (English) :Chinese Academy of Sciences
1.概要(Summary )
ポリフルオレン(PFO)は半導体性と金属性の混合物で合成される単層カーボンナノチューブのうち半導体性カーボンナノチューブを抽出できることが知られている。これまでに様々なPFO誘導体が合成され、誘導体構造の違いにより抽出される単層カーボンナノチューブのカイラリティーが異なることが知られている。そこで、新規に合成した8種類のPFOから作製した22のサンプル(PFO-1, PFO-2, PFO-3、 P0-1, P0-2, P0-3、P8-1, P8-2, P8-3、P12-1, P12-2, P12-3,P16-1, P16-2, P16-3、P20-1, P20-2, P20-3、P8M-1, P8M-2, P8M-3)の抽出溶液の近赤外スペクトルからカイラリティーの違いについて検討する。
図1.合成したPFOの例(P0)
2.実験(Experimental)
Carbon solutions Co.の P2-SMNをPFOのトルエン溶液(5 mL)を用いて可溶化した溶液を軽く超音波分散し、近赤外蛍光分光装置 : Nanolog-3 (HORIBA JOBIN YVON)を用いて以下の条件で測定を行った。波長範囲:500 nm ~1000 nm、積算時間:5s、光路:FF、スリット幅:励起/発光側共に10 nm、Grating:100、発光中心波長:1200 nm、シグナ:S1c
3.結果と考察(Results and Discussion)
図2にP8, P8M, P12, P16で抽出した溶液から測定した近赤外光マッピングを示す。いずれの溶液でも大きな違いは認められなかった。太い直径の単層カーボンナノチューブを用いているために、選択性の確認できるS11遷移に基づく発光でなく、S22遷移に基づく発光を観察されていると考えられる。
図2.P8, P8M, P12, P16から抽出した溶液の
近赤外光マッピング
そこでさらに長波長のマッピングを行ったが、発光強度が弱かったためかシグナルは観察されなかった(図3)。
図3.長波長領域における近赤外発光マッピング
4.その他・特記事項(Others)
紫外可視近赤外分光測定置はナノテクプラットフォームテクニカルスタッフの荒谷氏に実施頂いた。ここに謝意を示す。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし