利用報告書
課題番号 :S-16-NM-0103
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :PEG-ポリアミノ酸からなるブロックポリマーのCDスペクトル評価
Program Title (English) :Evaluation of PEG-poly(amino acid) block polymers by using CD spectra
利用者名(日本語) :柳澤 祐樹
Username (English) :Yuuki Yanagisawa
所属名(日本語) :ナノキャリア株式会社
Affiliation (English) :NanoCarrier Co., Ltd.
1.概要(Summary)
ポリアミノ酸は主鎖に不斉炭素を有しており、その立体化学がポリマー2次構造(-ヘリックス、-シート、ランダムコイル)を決定する重要な因子となっている。この2次構造は、PEG-ポリアミノ酸からなる両親媒性ブロックポリマーを用いたドラッグ・デリバリー・システム(DDS)でも薬効に影響を与える重要な因子となることが既に報告されている(Y. Mochida et al., ACS Nano, 2014, 8, 6724.)。そのためDDS材料として用いるブロックポリマーのロット間差を議論する上で、2次構造を評価することは重要である。本研究では上記の観点から合成したブロックポリマーのロット間差をCDスペクトルにより比較した。その結果、4ロットの比較において-へリックス量に差があることが示され、また1次構造についても分光学的差異が観測された。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
円偏光二色性分光計(J-725, 日本分光)
【実験方法】
合成方法が同じでロットが異なる4つのブロックポリマーを、それぞれMeCNに溶解し25 ºCで UVスペクトルとCDスペクトルを測定した。
3.結果と考察 (Results and Discussion)
いずれのロットも短波長領域では等しいUVスペクトルが観測され(a-1)、222 nmに大きな負のCDスペクトルを与えたことから-へリックス構造が多く存在することが示された。しかしながら、その強度差は約10 mdegあることが明らかとなった(a-1)。また長波長領域においてもAbs. ( 295 nm)=0.5(b-2)、CD Int. ( 275 nm)=10 mdeg(b-1)の差が観測され1次構造にも分光学的差異があることが示された。以上の結果より、今回測定した4ロットのポリマーはロット間差があると結論付けられる。今後、原料を遡ってこのロット間差の原因検証を行うこととする。
4.その他・特記事項(Others)
本実験にあたりNIMSナノテクノロジー拠点ナノテクノロジー融合支援ステーション ソフトマテリアルラインの李潔様に実験装置取り扱いのご指導をいただきました。心より御礼申し上げます
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







