名古屋大学
2014年度 成果事例
ラタン(籐)の微細構造とその吸着機能に関する観察
【目 的】
籐(ラタン)を角柱状に割り、布で包んだ自然の消臭剤である「ムッシュラタン」は、冷蔵庫、自動車室内、ブーツ内等での消臭機能の高さがモニター調査で認められています。そこで、籐内部の微細構造とタバコの煙が吸着される様子を走査型電子顕微鏡を用いて観察することにより、籐の消臭機能の特徴を視覚的に把握・検証することに取り組みました。
【成 果】
角柱状に切り出したラタンを走査型電子顕微鏡で観察すると、横断面(図1a,b)、縦断面(図1c,d)で特徴の異なる空孔、空隙が存在し、端面から内部まで通気性の高い構造になっていることが確認されました。伏せたビーカーの底面に籐試料を貼り付け、タバコの副流煙を充満させることで煙を吸着させ、倍率を上げ観察すると、半固溶の粒子が結合し層状に表面を覆っている状態や楕円状の空孔内部にも煙が吸着されていること(図2b)、試料内部にも煙が到達し固着していること(図2c)等が観察されました。活性炭消臭剤との比較実験より、籐の空隙の大きい高通気性構造が煙の吸着に有効に働いていることも分かりました。
本成果は、San Francisco国際ギフトフェア出展時の技術説明資料として活用され、来訪者の関心を集め、具体的な商談に結びつけることに役立ちました。
図1.籐を角柱状に割った横断面(a、b)および縦断面(c、d)の走査型電子顕微鏡写真。横断面には大きさの異なる空孔、縦断面には、管状構造と楕円状空孔等が観察される。
図2.a)タバコ煙吸着前の籐内の楕円状空孔付近(繊維状の筋が見える)。b)タバコ煙吸着後(半固溶状の粒子が結合し層状に表面を覆う)。c)煙吸着後の試料表面を数mm内側まで除去した内部(内部まで煙が到達)。