奈良先端科学技術大学院大学
2014年度 成果事例
高耐食性表面処理技術防錆機構の解明
【目 的】
弊社では、スプレー方式または、ディップスピン方式による塗布、焼成工程により、金属基板上に異種金属皮膜を形成して、金属基板の高耐食性、耐汚染性、電食の軽減を図っている。しかし、その理由については必ずしも明らかではなかった。そこで、弊社の経験的に培ってきた異種金属のコーティングによる表面処理技術の防錆機構を科学的に解明して、さらなる高耐食性化の指針を得たいと考えて、奈良先端科学技術大学院大学ナノテクノロジープラットフォームに支援を依頼した。
本研究により、表面コーティングにより防錆処理を施したボルトの防錆処理部分に、異種金属層状構造が実現され、異種金属層状構造が水、酸素の侵入を防止して、防錆処理の高い性能が実現されることが明らかになった。
【成 果】
防錆処理を施したボルトを樹脂に埋め込み、研磨により断面を出し、イオンミリングにより表面を清浄化した(図1参照)。その後、ボルト断面防錆処理部分をEPMAにより元素マッピングを行った。
防錆処理部分は、厚さ10μmで、Alを赤、Znを緑、Snを青とすると、図2のようになる。サンプルの右側がボルト部分、真ん中がコーティング部分、左側が樹脂部分である。
異種金属の層状構造を確認し、異種金属層状構造が水、酸素の侵入を防止して、防錆処理の高い性能を実現できることを明らかにした。奈良先端科学技術大学院大学ナノテクノロジープラットフォームを利用することにより、ノーハウを科学的に解明することができた。今後の研究開発においてもさらなる活用を図り、製品化に役立ててゆきたい。