利用報告書

光るコラーゲン発現誘導可能な細胞株の樹立
田中利明1)
1) 東京工業大学生命理工学院

課題番号 :S-18-NM-0055
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :光るコラーゲン発現誘導可能な細胞株の樹立
Program Title (English) :Establishment of cell lines having inducibility of tagged collagen
利用者名(日本語) :田中利明1)
Username (English) :T. Tanaka1)
所属名(日本語) :1) 東京工業大学生命理工学院
Affiliation (English) :1) Dep. of Life Sci. and Tech., Tokyo Institute of Technology

1.概要(Summary )
従前の研究手法ではコラーゲンの生合成過程はほとんど解明されておらず、コラーゲン異常を起因とする疾患は難治性となっている。申請者は、従前法では不可能であったコラーゲン生合成過程を、新技術(光るコラーゲン)の開発により解析可能にした。線維芽細胞や骨芽細胞などコラーゲン分泌細胞への当該技術適用によりコラーゲン生合成過程を解析し、難治性疾患の原因解明に資するデータを得る。この研究遂行に必要となる光るコラーゲン安定細胞株を樹立する。
2.実験(Experimental)
今年度、新たにhuman type I collagen1遺伝子 promoter を単離したことから、光るコラーゲン発現 DNA コンストラクトに対して、これまでの CMV promoter との入れ替えを実施した。この新DNAコンストラクトを用いて、マウス線維芽細胞NIH3T3およびマウス骨芽細胞MC3T3-E1により安定発現細胞株の樹立を試みた。
使用装置:CO2インキュベーター、蛍光位相差顕微鏡、Western Blotting検出器、セルソーター
3.結果と考察(Results and Discussion)
当該新コンストラクトにより、NIH3T3で5株、 MC3T3-E1で4株の安定発現株樹立に成功した。従前のCMV promoter ではNIH3T3の株が樹立できていないことから、新コンストラクトの発現量は細胞にストレスの少ないレベル(内在性に近いレベル)であると予想された。このNIH3T3樹立細胞株を用いてTGF-などへの応答性を調べた結果、因子添加により光るコラーゲンの発現量が増加することを確認した(上図、某社保有の成分Xのコラーゲン生合成に対する効果を調べた例)。また、Western bloting法により、光るコラーゲンの発現量が外部因子に応答して増えていることを確認した。これらの結果により、当初計画通りに、外部因子で発現誘導されるコラーゲン量の変化を、可視化して知ることが可能なアッセイ系を確立した。
4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本研究の遂行に関して機器、技術、実験に関する支援を頂いた(株)資生堂 常長誠 博士、NIMS森田浩美 氏、箕輪貴司 博士、東工大 守矢恒司 氏に深く感謝いたします。「光るコラーゲン」プロジェクトについて親身にアドバイス頂いた東工大 生駒俊之 先生並びにNIMS花方信孝 先生に深く感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)K.Kawaguchi, A.Endo, Y.Madoka, T.Tanaka, M.Komada. Biochemical and Biophysical Research Communications 499 (2018), pp635-641.
(2)田中利明、常長誠、柳川享世、茂呂忠、内山太郎、上田修、田川陽一、稲垣豊、生駒俊之, 第50回日本結合組織学会, 平成30年6月29日.
(3) 守矢恒司、生駒俊之、田中利明、第41回日本分子生物学会年会, 成30年11月30日.
(4) 田中利明、第5回 LiHub フォーラム(主催),平成30年12月13日.
(5) 田中利明、第9回化粧品開発展アカデミックフォーラム、平成31年1月31日.
6.関連特許(Patent)
(1) 田中利明、生駒俊之、田中順三, 「コラーゲン融合タンパク質、及びそれを用いた薬剤のスクリーニング方法」, WO2016152882 A1, 2016年9月29日.

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