利用報告書

機能性半金属の組成分析と構造解析
中埜彰俊、西原大貴、丸岡うらら
名大理

課題番号                :S-20-NU-0029

利用形態                :機器利用

利用課題名(日本語)    :機能性半金属の組成分析と構造解析

Program Title (English) :Structural analysis of semimetals with various functionalities

利用者名(日本語)      :中埜彰俊、西原大貴、丸岡うらら

Username (English)     :A. Nakano, D. Nishihara, U. Maruoka

所属名(日本語)        :名大理

Affiliation (English)  :Department of physics, Nagoya Univ.

 

 

1.概要(Summary )

本課題では、申請者の研究グループで結晶成長した様々な機能性半金属の単結晶について、X線回折やSEM-EDXを用いた評価を行うことを目的とする。本報告書では特にPbPdO2に対して不純物置換した単結晶のEDX分析結果を示す。

 

2.実験(Experimental)

実験にはフラックス法によって作成したPbPdO2単結晶試料及び、PdサイトにCoを5 %置換した試料を用いた。どちらも長辺が数百ミクロン程度の結晶であった。これらを微小単結晶X線構造解析装置によって回折パターンを測定し、格子定数を求めた。またJEOL JSM-7500FA(FE-SEM)において単結晶試料の観察、およびEDXによる組成分析を行った。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

図1(a)にPbPdO2単結晶試料のSEM画像を示す。表面に多少の傷やひび割れがあったが、元素マッピングは均一であった。酸素は定量できないものの、組成分析ではPbとPdがおよそ1:1であることが分かり、これと単結晶X線で明らかにした格子定数から目的試料が作成できていることが確認できた。図1(b)にPdサイトにCoを5 %試料置換した単結晶試料における観察像と元素マッピングの結果を示す。PbPdO2の単結晶と比較すると、観察像では図の黄色矢印で示したような表面の付着物が見られる。また元素マッピングを見ると、その付着物付近でCoの分布が多いことが分かる。すなわち、Coの偏析が起きていることが分かった。この結果は今後の物質合成を進める上で重要な情報であると考えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図1(a) PbPdO2および(b)PdサイトにFeを5%置換した試料のSEM観察像と元素マッピングの結果

 

4.その他・特記事項(Others)

なし

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

  1. Nakano, U. Maruoka, F. Kato, H. Taniguchi, and I. Terasaki “Room Temperature Thermoelectric Properties of Isostructural Selenides Ta2PdS6 and Ta2PdSe6” J. Phys. Soc. Jpn. 90 (2021) 033702

 

6.関連特許(Patent)

なし

©2024 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.