利用報告書
課題番号 :S-19-MS-0003
利用形態 :協力研究
利用課題名(日本語) :縮退π集積材料を用いた有機FET素子の開発
Program Title (English) :Development of Organic FET Device Using Degenerate π-Integrated Materials
利用者名(日本語) :佐藤宗太1)
Username (English) : S. Sato1)
所属名(日本語) :1) 東京大学大学院理学系研究科; JST, ERATO
Affiliation (English) :1) Faculty of Science、The University of Tokyo; JST, ERATO
1.概要(Summary )
申請者が合成グループのリーダーとして所属しているJST, ERATO磯部縮退π集積プロジェクトは2018年度で終了したが,継続課題として特別重点研究が2019年度に採択され,本研究の一部はプロジェクトの一環として検討した.本ERATOプロジェクトでは,構造有機化学を基盤に「ポスト・ナノカーボン分子」を創造し,次世代機能・次世代材料の発見・開発を先導することで,次代の有機材料研究の発端を担う基礎研究を展開してきた.この目標に向け,これまでに有機エレクトロニクスおよび有機スピントロニクス素子に適する設計の分子を合成し,OLEDやスピンバルブへの応用を達成してきている(Chem. Sci. 2016, 7, 896-904; APL Mater. 2017, 5, 046101; APL Mater. 2018, 6, 026103).今回,有機FET素子に適する設計の分子合成に焦点をあて,さまざまな環員数や置換基を有する,一連の大環状構造をもつ芳香族炭化水素分子の合成を完了できた.本研究課題においては,これらの分子を用い,縮退したπ電子系をもつ分子の特徴を活かした有機FET素子の開発を模索した.
2,3.実験(Experimental)結果と考察(Results and Discussion)
有機FET素子の構築に必要な分子は,再結晶や昇華により精製した粉体として用意した.熱的安定性評価をはじめ,構造・物性に関する基礎的な知見が揃っている.例えば,6分子のナフタレンを単結合によって環状に連結した[6]cyclo-2,7-naphthylene ([6]CNAP, 図1)は,示差熱天秤装置で解析したところ638 ℃と高い熱的安定性を示し,有機FET素子の調製条件に耐えうるものと期待される.
材料の準備が整い,また有機FET調製の予備的知見が得られてきたことから協力研究にむけて会合やメール会議を通した研究討議を行ったが,基板上に密着した結晶成長を実現する手立てが見つからず,有機FET素子の開発にはいまだ至っていない.
図1. [6]CNAPの分子構造
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は、JST, ERATO JPMJER1301の支援を受けたものである。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし