利用報告書

高圧下で合成されたPbFeO3の価数状態探査
東 正樹1),重松 圭1),北條 元2),于 潤澤3),龍 有文3),壬生 攻4)¬
1) 東京工業大学フロンティア材料研究所, 2) 九州大学総合理工学研究院物質科学 部門, 3)中国科技院物理研究所, 4) 名古屋工業大学工学研究科

課題番号 :S-18-NI-0034
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :高圧下で合成されたPbFeO3の価数状態探査
Program Title (English) :Investigation on valence states of PbFeO3 synthesized under high pressure
利用者名(日本語) :東 正樹1),重松 圭1),北條 元2),于 潤澤3),龍 有文3),壬生 攻4)¬
Username (English) :Masaki Azuma1), Kei Shigematsu1), Hajime Hojo2), Runze Yu3), Youwen Logn3), Ko Mibu4)
所属名(日本語) :1) 東京工業大学フロンティア材料研究所, 2) 九州大学総合理工学研究院物質科学 部門, 3)中国科技院物理研究所, 4) 名古屋工業大学工学研究科
Affiliation (English) :1) Laboratory for Materials and Structures, Tokyo Institute of Technology, 2) Department of Energy and Material Sciences, Faculty of Engineering Sciences, Kyushu University, 3) Institute of Physics, Chinese Academy of Science, 4) Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology

1.概要(Summary)
我々はこれまで,強誘電性と強磁性を兼ね備えたマルチフェロイックスの候補物質として,Fe系ペロブスカイト酸化物BiFeO3のFeサイトをCoやMnで置換した BiFe1-xCoxO3やBiFe1-xMnxO3のバルク試料や薄膜試料の誘電性や磁性を探査してきた。その過程で,メスバウアー分光測定を用いて,Feの局所電子状態やスピン構造に関する情報を有効に得てきた[1 – 4]。今回我々は,高圧下で合成されたFe系ペロブスカイト酸化物PbFeO3に対して,メスバウアー分光測定を適用した。この物質では,低温でPbサイトに電荷の不均化が発現し,それに伴って,Feの価数も変化する可能性があるため,Feの価数の変化に対して敏感に変化することが知られているメスバウアースペクトルから重要な情報が得られるものと期待される。
2.実験(Experimental)
試料の合成は15 GPaの高圧下で行われた。メスバウアー分光測定は,ナノケクノロジープラットフォームプログラムのもと,名古屋工業大学にて通常の透過法により行われた。PbFeO3は妨害元素であるPbを含むため,妨害元素であるBiを含むBiFeO3の場合と同様に,低温測定に向けては,試料中のFeをエンリッチする必要があるが,今回はまずエンリッチなしの試料を用いて室温での測定を試みた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に,PbFeO3粉末試料のメスバウアースペクトルを示す。良好なS/N比を得るのに15日程度の測定時間を要した。スペクトルは磁気分裂した6本パターンのサブスペクトル3組でフィッティングすることが可能であり,磁気的のオーダーした試料中に3つのFeの局所環境が存在していることが示唆されている。このうち1つは不純物として含まれるα-Fe2O3である可能性が高い。残り2つのFeサイトの分率は1:2で、これは電子線回折から決めた空間群Cmcm, 2a×6a×2a(aは立方晶ペロブスカイトの格子定数)の構造モデルと符合している。現在この情報を元に構造解析を行っている。

図1. PbFeO3粉末試料の57Feメスバウアースペクトル
4.その他・特記事項(Others)
【参考文献】
[1] H. Yamamoto, T. Kihara, K. Oka, M. Tokunaga, K. Mibu, and M. Azuma, Journal of the Physical Society of Japan 85, 064704-1 (2016).
[2] H. Hojo, R. Kawabe, K. Shimizu, H. Yamamoto, K. Mibu, K. Samanta, T. Saha-Dasgupta, and M. Azuma, Advanced Materials 29, 1603131 (2017).
[3] K. Shigematsu, T. Asakura, H. Yamamoto, K. Shimizu, M. Katsumata, H. Shimizu, Y. Sakai, H. Hojo, K. Mibu, and M. Azuma, Applied Physics Letters 112, 192905 (2018).
[4] K. Shimizu, R. Kawabe, H. Hojo, H. Shimizu, H. Yamamoto, M. Katsumata, K. Shigematsu, K. Mibu, Y. Kumagai, F. Oba, and M. Azuma, Nano Letters 19, 1767 (2019).
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。

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