利用報告書
課題番号 :S-18-NM-0018
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :バイオ医薬品の開発
利用者名(日本語) :中尾良太
所属名(日本語) :株式会社バイカ・セラピュティクス
1.概要(Summary )
自社で開発中のバイオ医薬品を評価サンプルとし、試験サンプルとの相互作用評価による機能解析を行う。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
【実験方法】
・表面プラズモン共鳴バイオセンサーでは抗原結合ドメインを含む抗原結合分子をチップ上に固定化し、そこに評価サンプルをアナライトとして流すことでKD値を測定することができる。
・本実験では市販のSensor Chip Protein Aを用い、自社で作製した抗体および類するタンパク質がProtein AによりFc部位でセンサーチップ上に固定可能か測定を行った。
次に、自社で作製した抗体および類するタンパク質(キャプチャー側)と相互作用するであろうと考えられる未知試料を検体(アナライト側)として測定を行い、その結合評価を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Protein Aと抗体の結合様式は抗体のFc領域を介して通常行われる。この仕組みを利用し、センサーチップ上に予め固定されたProtein Aに抗体をキャプチャーさせ、抗原結合評価が可能な状態をFig.1に示すように構築した。
最初の実験では1ug/mLに濃度調製した抗体をマニュアル操作によりサンプルインジェクションした。濃度は測定時のアナライト結合時にRmax100RU以上になるキャプチャー量をあらかじめ試算し、サンプルの添加時間を考慮して決定した。添加開始御後から時間依存的にセンサーグラムが上昇し、添加終了後もセンサーグラムが安定することが確認された。その後、一定量のキャプチャーさせた抗体に対し、グリシン塩酸pH1.5溶液の30秒添加することで十分に解離し、レポートポイントの値が抗体をキャプチャーさせる直前に設定したベースライン値付近まで戻る事も確認できた。
次に行った実験では、未知試料をアナライトとしてシングルサイクルカイネティクス測定を行った。Fig.2に示す通り、アナライトの濃度依存的に結合が上昇していく様子をセンサーグラムにて確認でき、結合した分子は解離しにくいという特性が明らかとなった。
4.その他・特記事項(Others)
機器利用にあたり、装置の使用トレーニング、トラブル対応、技術相談等でご支援を頂きました箕輪様、服部様、李様に心から感謝申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし