利用報告書
課題番号 :S-18-NM-0006
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :木材由来の糖の物性評価
Program Title (English) :Evaluation of properities for sugar made from woods
利用者名(日本語) :山本 貴美子
Username (English) :K. Yamamoto
所属名(日本語) :王子ホールディングス株式会社
Affiliation (English) :Oji Holdings Corporation
1.概要(Summary)
王子ホールディングス(以下王子)では自社の技術、資源を生かした新しい技術の開発を行っている。王子では保有している木材を利用し、糖を抽出する技術を所有している。これら糖を種々用途に活用することを想定し、粉体をする目的にて、スプレードライヤーでの粉体化の検討を行った。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
【実験方法】
木材由来の糖は社内で保有しているサンプルを使用した。糖液は超純水を用いて20~40%水溶液に調整した。この溶液をスプレードライヤー(B-290:Buchi製)で粉体化を行った。実験を行った際のドライヤー条件は以下の通りであった。
Inlet温度 185~210℃
Aspirator 100%
POMP 20%
Q-Flow 4.5
その後、目視にて粉体の状態の確認を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
スプレードライヤーの条件について検討を行った。Inlet温度185℃ではOutlet温度が85℃程度になり、粉体採取時にトラップへの曇りが生じ、乾燥が不十分であることが分かった。Inlet温度190℃とし、Outlet温度が90℃以上を保つことが乾燥十分な糖粉体を得るために必要であることが判明した。
また、乾燥方法の違いについての粉体形状の違いについて確認を行った(Fig.1)。
社内で実施している凍結乾燥法では大きな塊が生じやすく、その後の扱いが困難である。
一方、スプレードライヤーで粉体化を行った糖については粒径が比較的均一で、扱いが容易な固体を得ることができた。
Fig.1 糖粉体化後の粉体形状の写真
左:スプレードライヤー乾燥 右:凍結乾燥
スプレードライヤーでの乾燥条件の検討から、社内保有糖がスプレードライヤーにて問題なく乾燥できることを確認した。
また、これまで使用していた凍結乾燥と比較し、スプレードライヤーでの乾燥したサンプルは細かい粉体で得られることが確認できた。
この結果より糖粉体の扱いが容易となり、今後の用途展開に有利になるであると考えられる。
4.その他・特記事項(Others)
NIMS李潔博士に装置使用法についての指導を受けた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし