利用報告書
課題番号 :S-19-NI-0028
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :研磨歪のない包丁の実現
Program Title (English) :Realization of the kitchen knife without the abrasion distortion
利用者名(日本語) :堀部 喜学1)
Username (English) :Yoshitaka Horibe1)
所属名(日本語) :1) 有限会社 志津刃物製作所
Affiliation (English) :1) Shizu Hamono Co.,Ltd
- 概要(Summary )
名古屋工業大学江龍研究室で開発された固定砥粒型CMP法を用いて、一般的な砥石仕上げに見られる「まくれ」や力学的な歪の無い包丁の実現可能性を見出すために実施した。通常、刃先には数μmオーダーの「まくれ」の剥がれ落ちによる、鋭利では無い領域が発生する。また、砥石とのこすれ合わせによって、包丁の刀身には、使用初期に急激に摩耗する領域が発生する。CMP砥石はその発生量を最小限にする可能性があると考え、包丁加工を試みた。ここではパン切りナイフの加工について示す。
2.実験(Experimental)
・MAT社製エアスピンドル40cm研磨定盤一式
・曲面形成治具一式
1:形状形成された刃具を、形成治具に固定する
2:名古屋工業大学江龍研究室にて開発したCMP研磨砥石により刃先をCMP加工する。
3.結果と考察(Results and Discussion)
包丁用ステンレス歯の砥石仕上げ後の刃先顕微鏡像
加工前の刃先を光学顕微鏡により観察した。これにより刃先丸みは半径約7.8μmであり、先端には数μmの凹凸が存在していることが分かった。ステンレス刃物としては十分に鋭利化されている。
CMP加工後の刃先の顕微鏡像
CMP加工によって刃先丸みを3μmまで鋭利化することが出来た。この鋭利化した結果を実際に「焼きたて」のパンをカッティングすることにより評価した。
CMP加工前後の焼きたてパン切断状況
左はCMP加工前、右の2枚はCMP加工後である。焼きたてパンを潰さずに切断することを可能にした。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。