分かっているのは曽祖父の代からやっているという事で、創業は不明です。会社は漆喰の供給業だけでなく自身でも施工しますし、その他の仕事も幅広く行っています。
高校も化学科で航空エンジニアとしてサラリーマンをしていました。ものづくり好きはもともとのようです。
祖父や父が、お客さんに寄り添いながら汗水流している姿がかっこよかったからですね。それから、今の社会構造というのは作り手と受け手が遠いですよね。商品の良さを本当にお客さんに伝えられているのか?またお客さんのニーズを作り手が聞けているのか?と思うようになったからです。
まず先に漆喰について説明しますが、実は漆喰は古代から使われているもので、エジプトの古墳の壁からも見つかっています。漆喰には高い消臭効果や調湿機能、そして防火性に優れています。漆喰は天然素材である石灰岩、貝殻、海藻糊、麻スサ、水から作られているので、もちろん燃やしても有害物質は出ません。にも関わらず、漆喰の消費は年間20数億円にしか満たないんですね。これは大手飲料メーカーの新商品の売り上げ目標程度なんですよ。
始めの頃は漆喰以外の仕事ばかりしていました。道路工事なども。すが漆喰が日によって上手く固まらなかったりすることに興味が湧き、自身で配合の研究を始めました。左官屋さんは感覚でやりますからね、このぐらいって。レシピも残ってないんですよ。自分が自信を持って商品を説明出来ないとダメですよね。でもこれは曽祖父の九一さんのやっていた仕事と同じなんですよね。
松山:中日信用金庫とJSTに繋がりがあり、やる気のある中小企業を探したのがキッカケです。初めにお会いしたときに漆喰をバーナーでがーっと燃やしてね。ほら、燃えないでしょ?と言われてびっくりしました(笑
種村:はじめは漆喰の成分、構造の分析の相談からだったかな。誰もそんなものを分析したことがなかったし、実際にSEMの観察にも試料作りはかなり難しかったですね。名工大のノウハウを注力しました。
まず自身も結果を見てとても驚きました。杉の粉を混合した漆喰は構造に違いが見られて、漆喰の性質とも相関があったので、お客さんに説明するときにもとても役立っています。
古い建築書を読むのが好きなんです。例えば今普及を目指しているミルクカゼイン接着剤、これは古代エジプト時代にもう使われていて、当時の木簡なんかはまだくっついているんですよ!最近は漆喰にサフランを混ぜようと思っています。これも古い建築書から拾いましたが、漆喰からいい匂いがするそうです。まだ検討段階ですが(笑
確実に増えていると思います。先日のJSTフェアの後、商社からの問い合わせも来ています。また大きなお屋敷の施工も受注しました。そのほか、大学との共同研究で素材を提供するなど、科学的な研究とも繋がりが出来はじめています。
T深呼吸できるようになった、よく眠れる、など本当に喜んで頂いています。弊社では漆喰サロンを毎月第三土曜日に開催していますが、皆さん漆喰の部屋の居心地のよさに驚いて帰られます。懐かしいレコードもあるし、お茶を飲みながらの楽しいおしゃべりをしていますので是非お越しください(笑
古きよきものを科学の視点で解明して、普及したいというのと、曽祖父の九一さんのように作り手とお客さんが心を通わせられるような仕事がしたいと思っています。